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幸せの名前

Posted by ユウ on 25.2011 0 comments 0 trackback
「あきづき、あきづき、あきづき」
真新しい天井を見上げながら、幾度かその単語を反芻する。
窓から入る湿っぽい空気が風に乗って、彼女の長い髪を浚っていく。
水無月。水の月というその語源通りに、外を見れば梅雨が辺りを襲っている。
しんしんと、潤いと共に。
「秋月……か」
憂い気なその口調とは裏腹に、彼女の表情はとてもにこやかである。
自信の心の中では、大事を前に悩む少女なのだろう。
だがアイドルであり、たまに演技も行う彼女にしては表情が作れていない。
それほど、嬉しいのだ。
ずっと望んでいたこの瞬間。あの日、あの時から。
その時、背後でこんこんと小さなノック音が聞こえた。
ビクッと小さく肩を揺らして、音の方向を振り返る。
誰、と聞かなくても解っている。
この部屋に来るのなんて、彼しかいない。
「夢子ちゃん、片づけは終わった?」
優しい笑顔で、彼は言う。
「私はとっくに終わってるわよ。そういう涼こそどうなの」
笑顔を隠すように怒った表情で、彼女は言う。
だがそんな彼女の姿に、涼はくすくすと微笑みを向けるだけ。
もう何年も二人、一緒に過ごしているのだ。自分の些細な考えなんて、もう完全に把握されてるのかもしれない。
そんな風に考えると、少し気恥ずかしい。
「それじゃあ、ちょっと休憩しようか。ご飯、作ってあるよ」
そういえば、と鼻を動かせば芳しい香りが漂っている。
まったく、この男ときたらこんな事ばかり得意なのだから。
そんな想いを心の奥にしまいこみ、彼女が涼と後へと仕方なくといった表情で追従する。
何といっても、お腹がペコペコだったのだ。
二人住む、この部屋へ引っ越しする作業の為に。
「秋月、夢子」
涼に聞こえないように、小さく彼女が呟く。
言い慣れぬ、聞こえ慣れぬ言葉に頬がつい緩んでしまう。
だけど慣れなければ。この名前で、ずっと過ごしていくのだから。
彼と、一緒に。

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りょうゆめわっほーい!
6月と言えばジューンブライドですね。結婚の月。
まだ5月だけど。


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