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resonance

Posted by ユウ on 17.2011 0 comments 0 trackback
高い、高いところに立っているからだろうか。ふと見上げた夜空に瞬く星々は、手を伸ばしたら掴めそうなくらいに近い。
無理と解っていても、手を上げたくなるほどに。
ふと、手に圧力がかかる。
ずっと握りしめられている彼女の手が、不安そうにかたかたと揺れて精一杯握りしめてくる。
この風が音を立てて舞う極寒の場所で、彼女の暖かな手だけがこれは現実だと教えてくれる。
摩天楼の星々と、夜空の光に挟まれたこの幻想のような場所が。
「ねえ……」
ずっとこの場所に来てから押し黙っていた彼女が、初めて口を開いた。
その声は、手と同じようにかたかたと震えていて。
大丈夫だよと応えるように、彼は言葉は発さずに彼女の手を強く握った。
鼓動が、伝わる。
轟々と鳴り響く音なんかより、ずっと大きな二人の音。
その音は海のように、流れ、彼女へと刻まれていく。
ずっと二人は一緒だった。
幼馴染として二人仲良く暮らしていて、寂しがり屋の彼女が震える度に、こうして手を握りしめたものだ。
彼がゆっくりとほほ笑む。
最初は他人、そして友達から特別な人へと関係が変化する度に、二人は約束してきた。
他愛もない、特別何かしなければというものではない。
ただちょっと意識を変えるだけみたいな、そんな約束。
全部思い出せる。最初の約束も克明に。
そうしてつい思い出にふけっていると、色々な出来事が脳内に蘇って、彼がついふふっと小さな笑い声を漏らした。
「……どうしたの?」
それを耳ざとく聞きつけた彼女が、不思議そうな顔で彼を見つめる。
「いや、昔の約束とかいろいろ思い出してて」
「約束……ねえ」
「いやー、いっぱいあったな」
「あったねえ」
笑い声が風に乗ってどこかへ散っていく。
そうして、二人ひとしきり思い出話に花を咲かせて笑いあった後、彼が真剣な眼差しへと戻った。
「それじゃあ、行こうか」
「……うん」
近所のスーパーへ行くように、気軽に声をかける。
眼前は眩い光の海。
二人はしっかりとその手を繋いだままで、走り出す風に乗って一歩を踏み出した。
夜明けを待たずに、空の暗さだけを最後に焼き付けて。
轟々と鳴り響いていた風が、身を切り裂く刃のような音へと変わる。
この音は、後何秒続くのだろう。
これが静かになった時、きっと悲しみを抜けて永遠に二人で居られる世界がやってくる。
終わりが近づいた時、彼女と目が逢った。
「大好きだよ」
それは、最後の余韻。
音も何もなくなった世界で彼の頭に響く、たった一つの余韻だった。

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初めてのアイマスではないSS
アイマスを期待して読んでいただいた方にはごめんなさいを
でもどうしても書いてみたくなったの
Category : オリジナル


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